こんにちは 小田部久子です
無垢材の床や家具は、天然木本来の風合いがあり
室内の湿度調整や、楽器においては音を奏でる命となっています
我が家の柱も、丸太から切り出した無垢材で
杢〈もく〉が流れる様に曲線を描き、一つの物語が何かを語っているかの様です
杢〈もく〉とは原木の中で局部的なねじれが生じ出来た木目の模様の事で
特に装飾性の高い美しいものを「杢」〈もく〉とよびます
無垢材を使用しても材料の上から色を塗ってしまうと
杢の表現がうすれてしまうので、塗らずに素材そのままを使用します
杢には沢山の種類の柄があり、それぞれに名前がつけれています
弦楽器によく使用される杢は「ヴァイオリン杢」と呼ばれる杢や
可愛らしい点テン模様の「ぶどう杢」と呼ばれるもの
大海を目指す大河の流れの様な「銀杢」も私は好きです
この杢の家具を造っている南青山にある家具蔵さんを訪れました
感動で「あぁ」という一言でした
作品一つ一つが、一つの生き方そのものだと思いました
説明をしてくださったスタッフの方も生き物を扱うように話されるのです
私がもう一つ感動した事は、木を削る音でした
目を閉じずっと聴いていたい
そう思いました
テレビの番組のニュースステーションで月に一度くらいですが
番組の最後に1分間音が流れ、静かにその音に耳を傾けるひと時を楽しみにしています
〈時々、家具蔵さんの椅子がニュースステーションの番組後方に飾られています〉
今月の音は、田舎の土間のある風景で、囲炉裏の墨の燃える音と赤い火
火の粉が舞い上がると同時にパチンという音や
上からつるされた大きな茶釜の湯気をたてて湧くお湯の音
そして白い湯気
こんな風景の中にいると昔の人は
言葉のないコミュニケーションが生活の中にあったのだなと思いました
身近な音に耳を傾けてみてはいかがでしょう
自分の心の中を流れている音にきっと出会うはずです